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産業新地図 バイオ津波
しょうゆ革命

 食品関連のベンチャービジネス、モリタ食材開発研究所(大阪市)代表の守田悦雄さんは、去年暮れから食品メーカーやスーパー、銀行、商社など60社に及ぶ訪問客の応対に追われっぱなしだ。

 ことの起こりは去年11月、守田さんが食品業界紙などに発表したしょうゆ生産の新製法だ。この製法は、従来のやり方だと6~8ヵ月はかかる生産期間をわずか2週間に短縮し、しかも防腐剤やかび防止剤などの添加物もいらない。品質も風味もまずまずで、設備費、製造コストともこれまでの10分の1というのだから、この衝撃波は津波のように業界を襲った。この製法のミソは、バイオテクノロジー(生物工学)の1手法であるバイオリアクター(生物反応器)の利用だった。

 画期的ともいえる製法の出現に、関連業界は色めきたった。55年春には、月産300リットルのパイロットプラントも完成した。だが、しょうゆ業界に与える影響が大きいとみて、開発成果は公表しなかった。しかし、業界最大手、キッコーマンも同じような研究開発に取り組み、去年11月に、風味は今ひとつだが、試験管段階での成功例を明らかにしたため「遅れてはならじと」発表に踏み切った。モリタに「技術を譲って欲しい」という話は後を絶たない。

 守田さんは、この製法の実用化を国内では考えない、という。しょうゆメーカーばかりでなく、プラントメーカー、流通関係者への打撃が大きすぎるからだ。守田さんは「きれいごとすぎるかも知れないが、人に迷惑をかけてまでカネもうけする気はない」という。幸い、調味料としてのしょうゆは、いま外国人から見直されている。海外での需要増は期待できる。守田さんは、以前からの取引先である米国の液晶メーカー、スズキインターナショナルを通じて提携先を探している。

 しょうゆ業界の例をみるまでもなく、バイオテクノロジーは、その開発内容いかんでは、いろんな業界に地殻変動をもたらす引き金となる。あまりに、応用範囲が広いので、どんな技術が飛び出し、それが自分の業界や会社にどんな壊滅的な打撃を与えるか、見当をつけにくい。

 遺伝子の中に、耐病性あるいは窒素固定能力の要素を組み込めば、農薬も肥料もいらない植物をつくることができる。微生物が生み出す科学物質を利用することで、古くなって放置されている油田の底からたまっている石油をくみ上げることだって…。夢は次々と広がる。「20世紀最後の技術革新」といわれるゆえんだ。

朝日新聞1983年6月20日記事抜粋)





すっぽん粉末健康食品発売
茂勝産業 大阪合同ルートで

 すっぽん養殖業の茂勝産業(本社京都府城陽市)はこのほど、化学品の大手商社、大阪合同(本社大阪市淀川区)と販売提携し、すっぽんを粉末にした健康補助食品「神寿」の本格的な販売を始めた。「神寿」は熱処理をしていないため、すっぽんの栄養素がそのまま含まれているのが特長。茂勝産業では今年1月から、サンプル販売したところ売れ行きが良いことから本格販売に踏み切る。

 「神寿」は昨年、茂勝産業と食品加工の研究開発型企業、モリタ食材開発研究所(本社大阪市城東区、社長守田悦雄氏)が共同開発したもので、すっぽんを丸ごと凍結した後、粉砕、特殊な方法で真空乾燥する。このため、熱に弱い高度不飽和脂肪酸などの栄養素が分解されず、美容や栄養補給などに効果があるという。価格は30g入り5000円、65g入り1万円。

 茂勝産業は5年ほど前から、すっぽんの養殖を始め、料亭に販売していたが、最近の健康食品ブームに目をつけ約10億円を投じて京都府綴喜郡田辺町に月間3億円分の生産能力を持つ工場を建設、同分野への参入を狙っていた。しかし同社は、販売ルートがないため大阪合同との提携に踏み切った。

 一方の大阪合同は、化学品では長瀬産業、稲畑産業に次ぐ大手商社で、現在、石油化学製品原料や染料の販売だけで前売上高の7割近くを占めている。ところがここ数年、これらの売り上げが伸び悩んでいるため、「神寿」を扱うことで新規の販売ルートを開拓すると同時に売り上げを伸ばすのが狙い。同社では、健康食品は店頭に置くだけでは売れないとみて、米店や酒販店向けに販売し、月間1億円の売り上げを見込んでいる。

 茂勝産業と大阪合同、モリタ食材開発研究所では、「神寿」の販売を機会に、すっぽんを利用したものだけでなく、その他の健康食品の開発・販売を今後とも進めていく意向である。

日経産業新聞1984年10月11日記事抜粋)





関西発We Are 技術派
化学を支える中堅企業群

■本業は食品のR&D

 消費者ニーズの多様化や高機能化が進む中で、厳しい企業間競争が繰り広げられており、これまでの企業常識が覆されつつある。

 「わが社の事業内容をひと言で説明しろ、といわれても、それはとても難しい。もともとは多くのメーカーと同様にモノをつくることが主力事業だったが、今ではそのモノづくりというハード面よりも、会社の経営を支援するなどソフト面の仕事が圧倒的に多い」と語る守田悦雄社長が指揮を執るモリタ食材開発研究所も、その詳しい事業内容を知ると、「研究所」というイメージと現実とのあまりの落差に驚かされる一社だ。

 「わが社は甘味料など食品関連品のR&Dや企画・提案が主力業務。ところが、その過程で必ず越えなければならない特許というハードルをいくつもクリアして蓄積した特許申請のノウハウが評価され、いつのころからか苦労して確立した新技術を競合企業の攻勢から守りたいという方々が多数相談にみえるようになり、コンサルタントが本業になってしまった」(守田社長)。


■技術者の経験生かす

 同社がこのように特許コンサルタントとして高く評価されているのは、技術屋である守田社長自身のこれまでの経歴によるところが大きい。

 守田社長はダイエットブームなどを追い風に天然系の低カロリー甘味料として急速に普及しているステビアの実用化に、わが国で初めて成功した人物。ステビアメーカー、守田化学工業(本社・大阪市)の専務として「1年365日は研究に没頭」(同)、知的所有権を守るため30件以上も特許を申請し、同社をステビアの最大手まで押し上げた。

 ところが82年(昭和57年)、37歳のとき、「ここまでやれたのは自分の実力だったのだろうか。もう一度人生の答案用紙を出してみたい」と、父である社長の反対を押し切って突然退社、自身で新会社を設立し、それまで蓄積した膨大な食品関連の知識をここで一気に開花させた。

 「新技術のどこをどのように特許で押さえれば利益につながるのか。こうした企業としての経営戦略を考えて特許を申請できる人材が意外に少ない。とくに知的所有権に関する意識が薄い食品分野はこれが顕著で私のような者が重宝がられる」とニッコリ。


■経営の相談・指導も

 オフレコを条件にこれまでの特許コンサルタントの実績を教えてくれたが、ガムなどの食品関連以外にも抗菌剤や排水関連など、食品とはおよそ縁遠い異業種のヒット商品がズラリと並ぶ。

 「最近では特許のコンサルタントだけでなく、その周辺の人材教育や人材スカウト、商標登録など中小やベンチャー企業の経営全般のコンサルタントもやっていて、大手企業の関係者だけでなく金融関係や官庁関係の方の来訪も多い」と声が弾む。ステビアのパイオニアは、ヒット商品の仕掛け人として新たな道を切り開いている。


企業ワンポイント

 同社は特許指導から発展して経営コンサルタントとしての色彩を急速に強めている。その企業に合う商品を企画・開発して特許を押さえ、それに関わる人材を養成して広報、マーケティング戦略まで立てる。

 技術蓄積があるからこそできることだが、守田社長はその技術を生かして「環境関連などの異業種で大型商品をヒットさせたい」と夢を膨らませている。

化学工業日報1996年12月10日記事抜粋)


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