茂勝産業 大阪合同ルートで
【京都】すっぽん養殖業の茂勝産業(本社京都府城陽市、社長東剋臣氏、資本金五百万円)はこのほど、化学品の大手商社、大阪合同(本社大阪市淀川区、社長小安恵氏、資本金六億円)と販売提携し、すっぽんを粉末にした健康補助食品「神寿」の本格的な販売を始めた。「神寿」は熱処理をしていないため、すっぽんの栄養素がそのまま含まれているのが特徴。茂勝産業では今年一月から、サンプル販売したところ売れ行きが良いことから本格販売に踏み切る。
「神寿」は昨年、茂勝産業と食品加工の研究開発提案型企業、モリタ食材開発研究所(本社大阪市城東区、社長守田悦雄氏、資本金二百万円)が共同開発したもので、すっぽんを丸ごと凍結した後、粉砕、特殊な方法で真空乾燥する。このため、熱に弱い高度不飽和脂肪酸などの栄養素が分解されず、美容や栄養補給などに効果があるという。価格は三十グラム入り五千円、六十五グラム入り一万円。
茂勝産業は五年ほど前から、すっぽんの養殖を始め、料亭に販売していたが、最近の健康食品ブームに目をつけ約十億円を投じて京都府綴喜郡田辺町に月間三億円分の生産能力を持つ工場を建設、同分野への参入を狙っていた。しかし同社は、販売ルートがないため大阪合同との提携に踏み切った。
一方の大阪合同は、化学品では長瀬産業、稲畑産業に次ぐ大手商社で、現在、石油化学製品原料や染料の販売だけで全売上高の七割近くを占めている。ところがここ数年、これらの売りげがここ数年、これらの売上が伸び悩んでいるため、「神寿」を扱うことで新規の販売ルートを開拓すると同時に売上を伸ばすのが狙い。同社では、健康食品は店頭に置くだけでは売れないとみて、米店や酒販店向けに販売し、月間一億円の売上を見込んでいる。
茂勝産業と大阪合同、モリタ食材開発研究所では、「神寿」の販売を機会に、すっぽんを利用したものだけでなく、その他の健康食品の開発・販売を今後とも進めていく意向である。 |
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日経産業新聞 1984年10月11日
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