食品添加物の研究開発会社、モリタ食材開発研究所(大阪市、守田悦雄社長)は17日、植物たんぱくの不快臭を軽減できるマスキング剤を開発したと発表した。原料に全量、天然素材を使用することで食添表示を不要にし、食品重量比0.5~2%で効果を発揮する少量添加も実現した。健康志向の高まりを背景に市場が拡大する大豆加工食品分野への拡販を目指し、今月から市場開拓を始めた。
低カロリー志向などが強まる加工食品業界では最近、肉類の代替として大豆素材を採用する動きが本格化している。しかし、大豆由来の加工食品には大豆独特の青臭い植物たんぱく臭が残り、その除去が課題となっている。
米麹など天然素材を活用した食品添加剤の研究開発に取り組んでいるモリタ食材は、米麹素材を使った液体調味料の開発で確立したバイオ技術を応用。米などの穀物類を醸造し、植物たんぱく臭をマスキングする成分だけを高濃度で抽出することに成功した。
同社によると、新製品「マスキットEX」は原材料に全量、国産の穀物を使用。遺伝子組み換え原料やアレルギー物質は含まれていない。また、葉物や肉類など大豆以外の臭いや、日持ち向上剤、㏗調整剤といった食品添加剤の不快臭をマスキングする効果もあるという。
研究開発部の担当者は「コロナ禍のなか、自宅で食事をする機会が増え加工食品市場も需要が拡大している。マスキング剤もこうした市場の変化を見据え拡販していきたい」とコメントした。
同社は甘味料、ステビア国産化の草分け。高機能甘味料などの研究開発で実績があり、レトルト食品などの高機能志向を背景に食品の風味向上分野の研究も強化している。
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