【関西】食品メーカー向けに技術情報の提供や食品素材の販売を手掛けるモリタ食材開発研究所はこのほど、食塩の鹹味(かんみ)を大幅に低減する技術の開発に成功し、塩辛くない食塩の製法特許を出願した。 食塩は、原料海水の採水地・採取地のイメージを利用したブランド化が進み、海域・地域のイメージが消費者の選択動機にもなっている。国内産、海外産ともに採水地・採取地の原料海水に含まれる成分組成に由来するミネラル含有量、ミネラルバランスをその差別化とする一方で、食品加工においては鹹味がより軽減された味質が求められるケースも少なくない。 その中で同社が今回開発した技術は、原料海水などの濃縮または精製工程で、一定の条件の植物性(ハーブ)抽出物を特定条件下で添加、結晶化させるため、新たな設備投資を必要としない製造方法。添加する粉体または液体のハーブ抽出物生成物は微量であるため、ミネラルバランスなど原料海水に由来する本来の特徴を損なうことなく鹹味だけを低減させることができる。 「食品メーカーの商品開発を手伝う中で、塩味がポイントになるケースが多かった。この技術を各地の製塩メーカーが導入することで、鹹味が極めて抑えられた食塩を製造でき、これまで塩辛さがネックになっていた加工食品などにも使ってもらえる」(同社)と、幅広い分野での応用が期待できる。この新技術について、食品衛生学が専門の神戸女子大学・梶原苗美教授は、「化学合成添加物を使用せずに食塩の鹹味を緩和することで、他の味との相乗性も良くなり、食品加工メーカーの味づくりに活用されやすいもの」と評価している。 (徳永清誠) |