1996年当時、有限会社 ユー・インターナショナル(大阪市鶴見区、以下、ユー・インターナショナル)の内田和子社長が「ダーズンローズ」を造語・命名するまで、内外において「ダーズンローズ」の名称はなく、また「ダーズンローズウェディング」等の名称も存在しなかった。
この頃、インターネットで「ダーズンローズ」を検索しても検索結果は0件であったが、現在ではおよそ3万7000件を超える検索結果が検索される状況となっている(平成26年2月現在)。
本稿は、「ダーズンローズ」を理解していただくために、その誕生と現在までの経緯の概略を明らかにするものである。尚、内田和子氏は、現在は、更なる社会貢献を目指し、NPO法人理事長として活躍中である。
内田社長は、当時から各分野の著名人との人脈を有し、人・社会に対して利他的精神で人生を歩む方であり、その企画力、情熱、行動力等は常に注目される実践派である。
内田社長が生花ビジネスに取り組むことになったそもそもの始まりは、欧米で盛んに生花・バラを贈る習慣があることから、日本でももっとバラをギフトとして利用される様にと考えたことからであった。
生花1ダース(12本)をギフト単位と考え、バラと組み合わせて「ダーズンローズ」のことばが生まれた。この「ダーズンローズ」の誕生と事業化について生花卸業 有限会社 協和(以下、協和) 大西亨社長(大阪・鶴見区)に相談したところ、藤田特許事務所(大阪・北区)を通じて1996年4月12日商標出願され、その後 商標登録・権利化された。
「ダーズンローズ」は登録商標となり、ユー・インターナショナルでダーズンローズ販促用パンフレット等が作成され、ギフト包装・商品化は、協和で行われた。配送は、日通航空(大阪・北区)の協力を得て全国配送する体制が整い、事業がスタートした。
イベントも企画され、阪神大震災のボランティア活動で市民から推薦された個人・団体に、「神戸ダーズンローズ大賞」が贈られた。(主催「神戸ダーズンローズ賞」実行委員会、後援 神戸商工会議所、兵庫県生花商業協同組合、協力 神戸ワイン城、神戸フルーツ・フラワーパーク、ユー・インターナショナル)
また、1996年12月12日~同年12月15日には、 内田社長の友人である 敏いとう氏の「敏いとうとハッピー&ブルー」の協力を得て、神戸第11回 ダーズンローズフェスティバルが神戸ハーバーランドオーガスタプラザで開催され、多くの人で賑い、これらのイベントを通じて「ダーズンローズ」名称の普及につながることとなった。
内田社長はイベントの企画・開催等に奔走しながら、更なる事業展開を図るためには、メディア関係者の理解と協力が必要と考え、自らの人脈の中から、当時関西テレビ放送株式会社の報道関係に携わる出口清英氏に相談した。
出口氏は、業界の異なる人脈の中からテーマ・新規事業等の展開経験のある人物を内田社長に紹介しようと思ったという。この時、出口氏が声を掛けたのが私であった。
出口氏が私を選んだのは「ステビアと云う乾燥葉を渡され、口の中に入れ、その甘さに驚き、世界で初めてステビア甘味料を企画開発し、事業化に成功する等 新しい事業テーマにいろいろ関わっているので、その経験が役立つのでは…」と云う理由であったそうである。
当時、気分転換等で通っていたスナック「美智」(大阪・北区鬼我野町 望月美智子氏経営)で出口氏から話を聞いた私は、早速、内田社長と会うことになった。 これが、私のダーズンローズとの出会いであった。
スナック「美智」は、常連客が経営者、若しくは部課長といった幹部クラスばかりで、「お客がお客を呼ぶ」と云った雰囲気があり、異業種交流の場的な店として賑わいの絶えない店であった。
因みに、出口氏のカラオケはプロ歌手並みで、お酒と共に心が癒されるものがあった。それ以外にもゴルフ、ハーレーダビッドソンでツーリングを楽しむなど趣味の幅も広く、また海外の取材話には何時も心が躍るものであった。
ホールインワンカード / 愛車ハーレーダビッドソン
私は、内田社長からダーズンローズの造語命名からの経緯、理念等を聞き、特に国内外で「ダーズンローズ」と云う言葉は全くなく、12本のバラに心を託してバラを贈る生活習慣を普及させ、その収益を社会に還元し、明るい社会づくりに貢献したいという理念を語る姿に彼女の情熱を強く感じ、共感するものがあった。そして、この夢の実現に少しでも寄与できればと決断し、助言・指導することとなった。
丁度このころ、今まで世の中にない「不思議な水」と出
合った人・企業から、この水を使った新しいビジネスの提案を求められる機会があり、私はこの「不思議な水」を使った「新しい健康酢飲料・パイロゲン」ビジネスを企画開発から事業提案まで手掛けていた。
このビジネスも健康づくりブームと共に、その美味しさ等が高い評価を受け、商品の開発期から成長期に入り、事業の明るい展望が出来る時であった。 また、全く新しい発想から企画開発・事業提案した企業の「梅干し菓子商品・スッパイマン」も順調に市場拡大していた。
いずれも将来性のある食品・事業で明るい展望が出来た戦略の実績から、食品とギフト関係とは、その事業内容は異なるが、知財(商標)戦略をはじめとする事業展開方法は、活用出来ると判断した。
まず、12本のバラに、それぞれ花言葉を付けることを助言し、いろいろな相応しい言葉の中から「誠実、愛情、健康、友情、感謝、信頼、幸福、尊敬、繁栄、情熱、希望、平和」を選び花言葉とした。
この花言葉をまとめて「互いの友情は誠実から始まり、信頼は尊敬へ、そして真実の思いは情熱となり 今、希望に輝き繁栄に導き、愛情を分かち合い幸福を知り、平和で健康な心身に感謝して、優しい心の香りあふれるダーズンローズの心を託して 贈ります。」と表現し、これが使用されている。
また、12の数字に拘り12月12日を「ダーズンローズの日」として申請することを助言し、記念日設定委員会から認定された。
当初 生花分野に登録された商標は、文字をデザイン化したものであり、この商標登録では意味がなく、事業戦略上において極めて支障をきたすため、再度 使用実態に応じた商標出願を助言することになった。
しかし、知財専門の特許事務所を通じて登録されており、再度の商標戦略の見直しは消極的な考えであったため、株式会社 モリタ食材開発研究所 知財戦略支援室 に指示し、事業展開の将来を考え 独自に効率的・合理的に見直しを行うこととなった。
その結果、生花関係事業においても知的財産となる、実態に応じた文字商標として登録することができた。このことによって事業の防御と展開が容易となった。
参考事項
特に中小企業の知的(商標)財産づくりは、経営戦略上において極めて大切である。単に知財を特許事務所に一任するのではなく経営・営業的戦略を長期的展望から効率的、合理的に最小限度の投資で最大限の効果を得られる知財づくり(商標登録)を考える必要がある。
「ダーズンローズ」の生花関係に商標登録されると同時に、他の業種業界に対して「ダーズンローズ」の商標を使用した商品企画開発提案、また自ら企画開発販売を行うためにも、異業種に対する面的な知財戦略の必要性を説明・助言・指導し、相乗的な商標普及を目指すこととなった。
現在では、12の業種・業界分野で「ダーズンローズ」は商標登録されている。登録されている12の分野等は、次の通りである。これらの分野において商標を使用し、新しい商品企画開発を希望する関係者に対しては、理念を達成するために、商標使用権の許諾相談等にも応じている。
生花ダーズンローズが最もふさわしい分野は、結婚式である。そこで内田社長は、1997年1月に日本グライダル協会の桂由美会長に、バラづくしの結婚式を直接手紙で提案した。
その結果、株式会社 桂由美ブライダルハウスにおいて、「ファッショナブルで 新鮮な、まだ誰も経験したことのない 全く新しいウェディングの誕生」として、1997年9月に発表され注目を浴びた。
「桂由美スタイリッシュ ウェディング」としてプロデュースされたのが「ダーズンローズウェディング」であり、業界初のバラづくしの結婚式の誕生である。この全く新しいスタイルの結婚式は、メディアで大きく報道された。現在「ダーズンローズウェディング」は桂由美ブライダルハウスで全国展開されている。
「ダーズンローズウェディング」の商標は、文字が前述の生花分野の出願と同様に、デザイン化され、1997年6月29日出願・登録商標となっている。
ダーズンローズ倶楽部(後述)では、その後 この商標とは別に「ダーズンローズウェディング」の文字商標として使用実態に合わせて商標出願した結果、特許庁から非類似の商標として登録が認められた。(このことは、前述の参考事項にも関係することである。)
ダーズンローズ倶楽部は、「ダーズンローズ」のブランド戦略・管理等をする組織の核が必要と考えて 株式会社 モリタ食材開発研究所 内に設立されたもので、「ダーズンローズ」の命名者 内田和子氏の当初の理念を継承している。
同倶楽部は、12本のバラそれぞれに12の花言葉に心を託して贈る「ダーズンローズ」を普及させるもので、知的財産を基に商品等を企画・開発し、その商品等を提案・販売することを通じて明るい社会づくりを目指す社会貢献組織である。
具体的には、12の業種・業界の関係会社に統一商標「ダーズンローズ」の使用権を認めて、新製品の企画開発・事業化を図り、ギフト商品等のブランドとして定着・普及させ、ビジネスの拡大に結びつけ、その活動を通して社会貢献を目指している。
最近「ダーズンローズ」の名称の普及が進むにつれて、商標権を侵害する会社・商品が堂々とネット上において知見されるため、警告、法的手段等の方法による対策を実施しているところである。
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