ステビア甘味料の世界マーケットが、ここにきて大きく動く見通しが強まってきた。米国FDAは、先月17日にレバウジオシドA95%以上および97%以上の製品についてGRASとして正式に承認したもので、晴れて米国におけるステビア甘味料の販売が可能となった。米国では、すでにコカ・コーラ社およびペプシ社によって飲料分野に向けた商品開発が進められており、早くも”ステビア商戦”が水面下で激化。近く2大ブランドによるステビア配合飲料が店頭に並ぶ予定で、一大マーケットを形成する期待が高まっている。その一方で、本GRASは二重規格であり、また昨年6月にイタリア・ローマで開催された「第69回JECFA会議」においてADI(1日許容摂取量)が設定された際の規格とは異なることから、国際的な整合性が取れていないとの指摘を受けるなど、課題が残された。
課題となる国際的整合性
今回の米国FDAによるGRAS承認は、昨年5月にカーギル社とメリサント社の関連会社となるホールアーススイートナ―社の2社から申請されたレバウジオシドAに関して認可したものとなる。ステビア抽出物から精製されたレバウジオシドAとしており、95%以上または97%以上の製品とした。二重規格となった経緯は、申請企業が提出したデータを基にそれぞれで評価が行われたためだ。そのため、ホールアーススイートナー社が申請したレバウジオシドA95%以上の製品は、シリアル(オートミール、冷たいシリアル、シリアルバー)、飲料(ティー、フルーツジュース、ダイエットソフトドリンク、エナジードリンク、フレーバーウォーター)、卓上甘味料に限定した分野での使用が認められた。また、カーギル社が申請したレバウジオシドA97%以上の製品は、肉製品と家禽製品以外のすべての食品となった。
昨年のJECFA会議においてステビオールとして0-4mg/kgbw・DAYのADIが正式に決定したステビア甘味料は、各国で脚光を浴びるようになり、昨秋にはオーストラリアとニュージーランドのほかスイスで正式に認可されるなど世界的に評価が高まった。また米国FDAの認可によって、今後はEU諸国や東南アジア諸国でも許認可の動きが加速していくものと予想されており、各地域でステビア甘味料の評価が進むものと予想される。
その一方で、ステビアの規格が許認可各国で異なるため、早くも国際的な整合性を図る必要がでてきている。07年3月に改定された日本の「第8版食品添加物公定書」では、ステビオシドをはじめレバウジオシドA、CやズルコシドAの4成分で80%以上となっているが、JECFAではその4成分に加えてステビオールビオシドとルブソシド、レバウジオシドBの7成分で95%以上が規格として認められている。しかし、GRAS規格に至ってはレバウジオシドAの含有率のみで95%以上または97%以上としており、さらにハードルが高まった。ステビア原葉の主産国である中国をけん制する意味での戦略的な意見が見受けられるが、各国で異なる規格のステビアが流通していくことは市場の育成から考えても好ましくはないため、今後、すり合わせを行っていく必要がありそうだ。
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