雲居庵

 

高台寺の境内を散策していた。

丁寧に手入れされた竹林を抜けた頃 

雲の切れ目から漏れた光が雲居庵の野点傘をそこに生き物がいるかのように動の光で浮かび上がらせた。

 

僕の身体はすかさず反応し 茶室でいえば正面で無い位置から狙っていた。

新緑のもみじと野点傘の赤が見事に調和した瞬間だった

雲居庵と言う茶席だった

そのたたずまいに誘われお抹茶をしょもうした。

 

庵のあるじに写真を見せた所たいそう気に入られ 後日お届けする約束をした。

人の御縁 場所の御縁 天の理 地の理 自分がその中に己の存在を意識しない時感じる至極の平安

出会う人々のやすらかなこころだけがみえてくる そんな時間を雲居庵は下さいました。

 

和楽輪の家   小林哲博