こころして

 

歩き瞑想を終えた頃から突然雪が降り出しあっという間に当たり一面真っ白になった。

 

一昨日携帯のアラームの設定をOFFにしたまま気付かず朝寝坊してしまった。

いつもなら歩いているはずなのにその日は布団の中にいた

別にそれだけの事だけなのではあるが 僕にとっては落ち着かない一日で有った

早朝誰にも会わず 唯 風と光と気を感じながら過ごす時間は作ろうとも作れない時間であると知った

今の我々の日常は ほとんどの事柄に人の手が加えられている

舗装された道路 照明 空調 情報 そんな中では 僕にとっては貴重な自然のまんまの手付かずの世界なのだ。

 

アトリエの前の椿の木も 毎年幾千もの花を咲かせ 樹の下は落下したピンクの花のじゅうたんが出来る程であった

しかし剪定する庭師の選定を間違い裸にされた椿は何本かは枯れ 残った椿は友を失い寂しげに咲いている

自慢の枝垂れ桜も ビッグ体重の庭師が足をかけ違えて 重要な枝を裂いてしまった。しまったと思っても後の祭りだった。

松の木の松葉を一本一本つまんで形を整えている庭師を見た事があったが 今思うと良く木のこころを知っている人だなぁーと思う

人の生き方も周りの事も考えずに乱暴に大声をあげて嵐の如く行く人もあれば 

一匹のありんこも踏みつぶさないようにこころして生きて行く人もある

どっちを選ぶかは自由だが 僕は 人のこころも 木のこころも 草木国土悉皆成仏 を理解し生きたいと思うのである。

 (草木国土悉皆成仏 とは 草木や国土のようなこころを持たないものも ことごとく成仏すると言う事)

 

和楽輪の家   小林哲博