前世の因縁「赤尾の道宗」に学ぶ
五箇山に赤尾の道宗と言う方がいた(1446~1516)
いつもニコニコ畑仕事をしながらも ありがとう ありがとう とつぶやいていた
彼の怒った顔を見た人はいなかった。
有る時村の若い衆が あのおっさんいつもニコニコして怒った顔見た事無い
一度怒らせてやろうと 何やらひそひそ良からぬ相談を始めた
一人の若者が後ろからそっと近づきドーーーンと突き倒した
はずみで前のめりに転び顔中土だらけ 怒るどころかにこっと笑って ありがとうございますと言った
若い衆が道宗に 何故おっさん 突き倒されたのに 怒らんのや?
何故ありがとうなのや〜? と怪訝な顔して質問した
道宗曰く わしも前世で知らず知らずのうちに人を傷つけたり いやな思いをさせたか分からん
そこであなた達が私にその時の因縁を教えてくれた
ここで私が あなた達を恨まなかったら 前世の因縁がこの世で消える事になる
だからありがたいのや 来世に因縁を引っ張っていかなくて済む 来世を一つお荷物無しで軽く迎えられるのや
若い衆達も納得して道宗の話に聞き入っていた。
先日僕の家に二組の分けあり夫婦もどき人達が泊って行った
後には不愉快な雰囲気だけ残った 十余年合わないうちに彼は変ってしまった
再会してその変容ぶりに驚いた
これも僕の前世の因縁なのだと納得した 《 これでいいのだ 》
ときれいさっぱり思いを流した 呑んで戴いた銘酒もお役に立ててと喜んでいることでしょう
と思う事にした
哲