わがが名をよびてたまはれ

 

足速に通り過ぎようとした時 ふと  声を聴いた

 

忘れたの私のこと

 

 

 

 

いとけなき日のよび名もて わが名をよびてたまはれ

 

あわれ いまひとたび わがいとけなき日の 名をよびてたまはれ

 

昨日まで けなげに咲いていた酔芙蓉の花が まだその美しさを残して呼びかけてくれた

 

 

夕べ 酔芙蓉はどんな夢をみていたのだろうか

 

三日月の細い光の中で 愛された日の事を夢見ていただろうか

 

ほんのりのこる色香の中に 楽しかった日々を伺い知る

 

風のふく日のとほくより わが名をよびてたまはれ

 

 

 

夜の間 ずっと酔芙蓉のそばで 夢を聞いてあげていた宵待草にも声かけた

 

ありがとう

 

酔芙蓉さん 安心して寝ていたよ

 

って

 

 

 

 

夢狩人 哲