細菌性食中毒と食中毒の予防法
食中毒の分類
食中毒 | 細菌性食中毒 |
感染型……大量の生菌の摂取によるもの (例)腸炎ビブリオ、サルモネラ、 病原性大腸菌、ウエルシュ菌 |
|
毒素型……食品中で細菌が産生した毒素の摂取によるもの (例)ブドウ球菌、ボツリヌス菌 |
|||
アレルギー様食中毒…腐敗産物の摂取によるもの | |||
化学性食中毒 |
有害化学物質の経口摂取によるもの (例)ヒ素、農薬、金属(鉛、スズなど) |
||
自然毒中毒 |
植物性自然毒…植物固有の毒によるもの (例)毒キノコ、じゃがいもの芽、毒草 |
||
動物性自然毒…動物固有の毒によるもの (例)フグ、シガテラ毒魚、麻痺性貝毒、下痢性貝毒 |
細 菌 名 | |||
サルモネラ | |||
原因食品 | |||
・ 肉類およびその加工品、二次的にサルモネラに汚染された食品 | |||
菌の特徴 | |||
・ 人や動物に広く分布している細菌群、ねずみ、はえ、ごきぶりや 犬やねこなどのペット類も汚染源 |
|||
症状(潜伏期間) | |||
・ 下痢、腹痛、発熱、頭痛、吐き気、嘔吐(6~72時間) | |||
・ 発熱のピーク(12~24時間) | |||
予防のポイント | |||
・ 食肉類の生食はさける | |||
・ 冷蔵庫内で二次感染を防ぐ | |||
・ 熱に弱いので十分加熱 | |||
・ 検便の実施により保菌者の発見(健康保菌者からの感染例大) | |||
|
|||
腸炎ビブリオ | |||
原因食品 | |
||
・ 海産性の生鮮魚介類のおよびその加工品、 二次的に汚染された食品(おもに塩分のあるもの) |
|||
菌の特徴 | |||
・ 好塩性を有し塩分2~5%でよく発育、発育が他の食中毒菌に比較してはやい | |||
症状(潜伏期間) | |||
・ 下痢、腹痛、吐き気、嘔吐、発熱(8~24時間) | |||
・ 発熱のピーク(15~20時間) | |||
予防のポイント | |||
・ 漁獲から消費までの一貫した低温管理 | |||
・ 二次汚染防止 ・ 加熱処理 |
|||
・ 8~9月の夏期から秋口にかけて多発する | |||
・ 器具類は流水で十分洗浄 | |||
|
|||
ブドウ球菌 | |||
原因食品 | |||
・ おもに穀類の加工品、菓子類 | |||
菌の特徴 | |||
・ ヒトや動物の化膿巣や鼻咽喉等に広く分布する | |||
・ 食品汚染→増殖→エンテロコキシン産生の三要素 | |||
症状(潜伏期間) | |||
・ 吐き気、嘔吐、下痢、腹痛(30分~6時間) | |||
・ 発熱のピーク(15時間~20時間) | |||
予 防のポイント | |||
・ 化膿巣のある者の調理取扱い禁止(個人衛生の徹底) | |||
・ 手指の洗浄消毒の励行 | |||
・ 残品再加熱はダメ | |||
|
|||
ウエルシュ菌 | |||
原因食品 | |||
・ 鳥獣肉、植物性たんぱく食品、一度加熱された食品の場合が多い (他の細菌が死滅し食品中の酸素が出され発育に至適な嫌気的状態になる |
|||
菌の特徴 | |||
・ A~F型に型別されA型が芽胞形成時に産生するエンテロトキシンが 原因因子である・嫌気性菌 |
|||
症状(潜伏期間) | |||
・ 腹痛、下痢(5~24時間) | |||
・ 発病のピーク(10~12時間) | |||
予防のポイント | |||
・ 加熱食品の低温保存によって芽胞の発芽増殖防止 | |||
・ 喫食前加熱して栄養型の菌の死滅をはかる | |||
・ 集団給食施設は要注意 | |||
|
|||
ボツリヌス菌 | |||
原因食品 | |||
・ 保存醗酵食品(イズジやキリコミ等)、びん詰 | |||
菌の特徴 | |||
・ 食品の中で毒素(神経性)を産生これが食中毒の原因となる | |||
・ 毒素はA~G型に型別される このうちA、B、E、F型がヒトに食中毒をおさせる |
|||
症状(潜伏期間) | |||
・ 複視、嚥下困難、発生困難、呼吸困難(5~72時間) | |||
・ 発病のピーク(12~24時間) | |||
予防のポイント | |||
・ 喫食前加熱 | |||
・ 新鮮な原材料の選択 | |||
・ 原材料の洗浄 | |||
|
|||
セレウス菌 | |||
原因食品 | |||
・ 米飯、スライドライス(焼飯)、スパゲッティ・・・(嘔吐型) | |||
・ 食肉製品、スープ、野菜、プリン、ソース・・・(下痢型) | |||
菌の特徴 | |||
・ 容易に芽胞を形成し食品の品質管理上非常にやっかいである | |||
・ 自然環境に常在する、嘔吐型、下痢型に分けられる | |||
症状(潜伏期間) | |||
・ (嘔吐型)・・・吐き気、嘔吐(1~5時間) | |||
・ (下痢型)・・・腹痛、下痢、吐き気、嘔吐(8~16時間) | |||
予防のポイント | |||
・ 食品の汚染防止 | |||
・ 低温保存 | |||
・ 長時間保存をさける | |||
|
|||
カンピロバクター | |||
原因食品 | |||
・ 本菌は、豚、犬、鳥類の腸の内容から多数検出されており感染源 および経路はサルモネラに類似するものと推察される |
|||
菌の特徴 | |||
・ この菌により汚染された食品および水から人に感染するものと考えられる | |||
症状(潜伏期間) | |||
・ 発熱、下痢、腹痛(2~7日)・・・平均35時間 | |||
予防のポイント | |||
・ 生肉と調理済の肉類は別々に保存 | |||
・ 厳重な手洗い | |||
・ 二次汚染の防止 | |||
|
|||
エルシニア | |||
原因食品 | |||
・ 食肉 (家畜、ネズミの腸内容から高率に検出 感染経路はサルモネラに類似すると考えられる) |
|||
菌の特徴 | |||
・ 37℃培養では運動性を示さない 発育至適温度は25~30℃と低く、5℃前後の低温でも発育する |
|||
症状(潜伏期間) | |||
・ 腹痛、下痢、発熱、頭痛(3~7日といわれているが明確ではない) | |||
予防のポイント | |||
・ 食品の加熱は本中毒予防には有効 | |||
・ 5℃前後でも発育するので保存には注意が必要 | |||
|
|||
病原大腸菌 | |||
原因食品 | |||
・ 分布が家畜、ペット、健康人や自然環境にまで及んでいるため 原因食品は多種にわたる |
|||
菌 の特徴 | |||
・ 赤痢や腸チフスのような経口伝染病と同じく井戸水などを介して 水系の集団発生もみられる |
|||
症状(潜伏期間) | |||
・ 下痢、腹痛、発熱、吐き気、嘔吐(数時間~24時間) | |||
・ 発熱のピーク(10~12時間) | |||
予防のポイント | |||
・ 一般の感染型食中毒と同じ、とくに飲料水や食品の加熱は有効 | |||
・ 定期的な水質検査の実施 | |||
|
≪家庭でできる食中毒予防6つのポイント≫
1.買うときは「新鮮なもの」を 肉・魚・野菜などの生鮮食品は新鮮なものを。 加工食品は期限表示を確認して。 |
4.十分に「加熱」して 調理は手早く。加熱が必要な食品は 中心温度75℃以上で1分間以上の加熱を。 |
2.冷蔵庫は「詰め込みすぎない」 冷蔵庫は10℃以下、冷凍は-15℃以下で保管 しましょう。 |
5.できたら「すぐ食べる」 調理が終わったらできるだけ早く食べましょう。 |
3.下ごしらえ後の手は「洗浄・消毒」 生の肉や魚、卵を扱った後はそのつど手や 調理器具を 洗浄・消毒しましょう。 |
6.残ったらすばやく「冷蔵・冷凍保存」 残った食品はすばやく冷やして冷蔵・冷凍保存を。 再加熱も十分に。 |
食品開発コンサルタント ・ 味の知恵袋会社 ㈱ モリタ食材開発研究所