大阪日日新聞 コラム 散歩道 守田悦雄
「良き人生は出会いから」
良き人生は、良き出会いが大切である。出会いなくして成長もチャンスもない。これを聞いて積極的に実践した。
普通、出会いと云えば人との出会いだけを考えるが、演劇、絵画、音楽、書籍などとの出会いも、出会いである。この出会いを意識して行動するかしないかで、人生が大きく変わるものである。
私の場合は、出会いのご縁を大切に、人以外の出会いを求め人生・感性財産として蓄えチャンスをつかみ活用した。
27歳の時、人以外の甘味植物ステビアに関する文献・活字と出会った。
この植物が、私のビジネス人生のテーマとなる出会いであった。強く意識すると、それにふさわしい出会いがあるものだとつくづく思った。
出会った人と信頼関係を構築した。知識、経験など英知を結集・駆使し、時代を読み、運にも恵まれて、ビジネス人生の大きなテーマ・夢を37歳でかなえて、人生の区切りをつけることができた。
「甘味植物ステビア」は、現在では、数多くの食品に甘味料として使用されているステビア甘味料である。
今、年齢的にもビジネス人生は、どうでしたか?と問われる機会が多い。その時は「ステビア」の活字と出会ったことを説明して、世界で初めてステビア甘味料を事業化し、「日本のステビアの歴史は、私のビジネス人生の歴史であり、作品です」と答えることができるのも、出会いから始まったもの。
おかげで、日本で誕生したステビア甘味料は、世界的にも新しい低カロリーの植物性甘味資源として成長・拡大するまでになった。出会いをチャンスと気づき、感じて行動した結果である。
日常、数多くの若い営業担当者、求職者などと接する機会があり、会話の中で「出会いを大切にしています」という言葉をよく聞く。
しかし、出会った以降のことを聞くと具体的内容もなく、単に、その時会っただけのような出会いが多いように思われる。社会も大きく変わり、警戒心のあふれる時代となり、人との関わりがますます希薄になっているためかも知れない。
一度の人生、悔いのない幸せな人生だったと言えるような素晴らしい出会いが訪れるますように。
大阪日日新聞平成28年7月24日掲載記事